ネコと教師
9・5
「じつは俺さ、白石のこと、好きなんだよな」
翌日の学校。
朝イチで、俺はぶるぶる震える喉をしぼって、なんの脈絡もなく言った。
「え?」
そして、当然の反応が返ってくる。
それに、さらなる勇気をふりしぼるべく、ぎっと奥歯を噛みしめ、ひと呼吸置いて、もう一度言った。
「や、だから。俺、白石淳子のこと、好きなんだよ」
改めて言われて、多田はただ、ぽかんと俺の顔を見つめた。
その顔に書いてあるのは、「急になに言い出したのコイツ」。
そして返ってきた応え。
「へえ。……で?」
まあ当然だよな。
逆だったら俺だってそう言う。