ネコと教師
それで、「その魅力」とは、いったいなにを指しているのだろう。
それがわからなかった。
だってその中に、あたしが魅力的だと思うことが、ひとつも書かれていなかったから。
むしろこの文章からは、「おまえはただ優秀というだけ」と、馬鹿にされているような印象さえ受けた。
なんたってあたしはただ、そうしない理由がなかったから、そう振る舞っていただけなのだ。
人見知りでなかったから、活発といわれるような振る舞いをした。
同じ理由で部活動もやってた。
反抗する意味がとくになかったから、掃除も勉強もしたし、リーダーだってやった。
ただ単に、どれも嫌いでなかったというだけのことなのだ。
だから、そんなもの褒められたって、よくわからなかった。
いったい先生は、あたしのなにを見て、こんなものを個性と言っているのか。
わからなかったから、興味が湧いた。
わからなかったから、思い知らせてやりたくなった。
ちょうど、なんでこんなふうに振る舞っているのかも、よくわからなくなっていたのだ。
だったらいっそ、そうじゃなくしてみたらどうなるのか。
……興味があったから、だから、それを実行に移してみただけなのに。