ネコと教師

ってわけで、適当に見計らって校門前にて待ち伏せ、もとい待ち合わせすること幾時か。

「来ましたか」

「……またか。なんだ?」

「お帰りなさい」

「きみがお帰りなさい」

あらま、あいかわらずつれないなあ。

「だから、帰るところがないんだってば。まえ言ったじゃん」

「だったら白石。おまえ昨日までどこで寝てたんだ。長ーい暑ーい夏休み。野宿でしたよ、とは言わせんぞ」

「じゃあそういうことに」

「嘘つけ。さっぱりしてるじゃないか。おれだって暑い中働いてるっつうのに呑気でいいな、おまえらは」

「じゃあ先生のお背中お流ししましょうか?」

「いらん。あいにくこれでも体は柔らかい方でね。背中で届かない場所はないんだ」

「じゃあどうするのさ」

「だから、自分の家に帰れって」

「ひどい!あたしのことは遊びだったんだ!」

「誰が遊びでこんな疲れることをする。おれはいつだって真面目だ。……ん?あ、そうだ。遊びといえばな、白石」

「なんだよ」

「おまえ、またやっただろ」

「なにを?」

「オオカミ少女だよ。今日な、青田先生に言われて、ぶっ倒れそうになったぞ」

「ふうん、なに言われたの?」

「おれとおまえがな、……同棲してるって噂があるんだと」

なにそれ。ゆったヤツナイス!素敵すぎ!

「それってオオカミ少女じゃなくない?事実じゃん」

「大嘘だろうが」

「だって泊まったよ?あたし」

「それのどこが同棲だ」

「じゃあこれから同棲にすればいいし」

「すればいいことあるか!」

うむうむ。はなしはどこまでも平行線だ。

さすがビッグ・ザ・セラー。

今日もお堅し。

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