ネコと教師
昼休みになり私が職員室で昼食をとっていると、白石はへらへらと現れた。
「来たよー」
「来たよって、えらい早いな。白石、おまえメシ食ったのか?」
「ん?まだ。先生のほう優先した」
「そうか。そりゃ悪かったな。じゃあ、早いこと終わらしちまおう」
私は箸を置いて彼女のほうへ椅子を向き直した。
「今度のは援助交際だとさ。いつものやつだよ。まーた、どっかのオオカミ少女がひと仕事やらかしたんだろ。な、どうなんだ?」
「なにそれ。あたし?」
「そうだよ。他にいるか?おまえは前科がたっぷりとあるからな」
「えんじょコウサイ。はあ。そうですか」
白石は口の中で「援助交際」といくらか繰り返し、はて、といったように首をかしげた。
それを見て私は、しまったと思った。