ネコと教師

くそ、待ってろよ青田里恵《あおたりえ》!

いまにおれしか見えないカラダにしてやるぜ。

「大倉先生」

ん?おわあっ!

「あ、青田先生」

「これ、どうぞ」

「は。え、あ……ありがとうございます。なんです?これ」

「チョコレートですよ。今日、バレンタインデーでしょ?受験シーズンでお疲れでしょうし、甘いものでもいかがかと」

「あ、そうでしたか。あいや、どうも、わざわざすいません」

そんなバカな!

マジかよ里恵!

なんだこのベタな展開は!

――と、思っていたら、

「あ、杉田先生も、これどうぞ」

おれの真後ろの理科教師におれと全く同じ包みの箱をあげる青田先生。

かくして早くも義理確定。

本当に、なんだよこのベタな展開は……。


まあいいや。ありがたいことに変わりはない。

おれはいただいたチョコの包みを鞄にしまい、帰り支度を整えた。

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