ネコと教師
7・14
「来たよー!」
今日も元気に挨拶する白石。
……って、挨拶か?いまの。
「いや、なんだよ、来たって。呼んでないぞ」
「今日はお弁当を持ってきました」
私の話なんざ聞いちゃいない白石は、売店で買ってきたと思われるパンを、どさっと私の机の上に落とした。
「ちゃんとふたり分あるから。愛妻弁当ってやつ」
つっこみどころが満載だ。
「私は弁当を持ってきているんだが」
「食べればいいじゃん」
「だからこのパンまでは食えんぞ」
「いいよ、残ったら捨てるし」
「ばっ……なんてこと言うんだ!食べ物を粗末にするもんじゃない!」
「だって食べられないものは仕方ないじゃん」
……ああ嘆かわしい。
日本の若者の感覚はここまで平和に飛んでしまっていたというのか。
「……わかった。おれも食べるから。そういうことは言うんじゃないぞ」
私がそう言うと、白石はなにがおかしいのか、けらけらと笑った。