たとえばきみとキスするとか。


そのあと、本屋に寄ったり雑貨屋を見たりしながら、私たちは街を歩く。

すると、移動式のクレープ屋を発見して、さっきハンバーガーを食べたのに私は我慢できずにいちごホイップクリームを買ってしまった。


口に入れると生クリームが全体に広がって、甘いものは別腹という言葉を作った人は天才かもしれない。


「ねえ、莉子はどんなものをもらったら嬉しい?」


私がクレープを頬張る姿を微笑ましく見ながら蓮が言った。


「どんなもの?」

「うん。実は染谷に彼女ができて相談されたんだよね」

「え、そうなの!?」

どうやら染谷くんの彼女は他校の子のようで、共通の友達を通して知り合ったらしい。


「シチュエーションにもよるけど、女の子は好きな人にもらったものなら、なんでも嬉しいと思うよ」


たとえ落ちているただの石でも、宝物に見えてしまう恋の魔法。だから恋は盲目なんて、言葉があるんじゃないかな。

他が見えなくなるぐらい、恋をすると頭の中はその人のことでいっぱいになってしまう。


「……蓮は、あの日のことを覚えてる?」

私はネックレスを握りながら聞いた。

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