たとえばきみとキスするとか。
恋に落ちた音だった。
*
「あれ、莉子がネックレスしてないなんて珍しいね」
そして次の日の体育の授業。ジャージに着替えている最中に、しいちゃんがすぐに私の首もとに気づいた。
「もしかして、また切れちゃったの?」
「う、ううん。そういうわけじゃないんだけど……」
ネックレスはしていないけれど、ちゃんとポケットには入っている。でも、なんとなく今日は外してしまった。
ずっとずっと、大事にしていた初恋の思い出。
なんだかそれが一瞬で変わってしまったかのように、私の気持ちはまだ落ち込んでいる。
蓮が悪いんじゃない。
私がいつまでも、大切にしすぎてしまっていただけ。
着替え終わって教室を出ると、廊下を歩く零を見つけた。しかもその足は明らかに保健室のほうへと向かっている。
「零」
私はその背中に声をかけた。