たとえばきみとキスするとか。
コンビニから約100メートルの場所にある公園はとても小さくて滑り台とブランコと砂場があるだけ。
休日はよく小学校の子たちが遊んでいたりするけど、今は誰もいない。
私たちは東屋と呼ばれる屋根つきのベンチに腰をおろした。そして私はマスクを下げながら、柊花に背を向けてバニラのアイスを食べる。
「私と莉子って、ケンカしてたっけ?」
私の不自然な体勢が気になったらしい。
「違う違う。私、風邪ひいててさ。ウイルスを柊花にうつさないために……」
「はは。そんなこと気にしなくていいよ。うつる時はなにしてもうつるんだから」
柊花はそう言ってアイスをぺろりと舐める。
柊花の気さくさが、私はたまらなく好き。だから中学の時はずっと一緒にいた。なにも考えず、ただ気の許せる友達として毎日が楽しかった。
だけど、柊花はどうだったのかな。
零と付き合っていた期間。柊花がどんなことを思っていたのか私は知らない。
「私さ、本当はずっと零くんのことが好きだったんだよね」
柊花が息をはくように言った。