たとえばきみとキスするとか。
今日からはじめての関係。






それから数日が経って、私の風邪はすっかり完治した。テスト勉強もなんとか間に合い、4日間の期末もなんとか乗り切ることができた。


「はあー!終わったー!」

この清々しいほどの解放感はなんだろう。まだ結果は出ていないけど、平均は越えている自信があるからきっと大丈夫。


「たまにはどっかに寄って帰ろうよ。私は明日からまた部活がはじまるし、莉子と帰れなくなっちゃうからさ」

しいちゃんと向かったのは駅前のコーヒーショップ。ここでブラックコーヒーを飲めたらカッコいいんだけど、私は残念ながら甘いカフェオレを注文した。

店内は薄暗くてオレンジ色の間接照明だけの大人な空間。だけど値段もリーズナブルだし、一度は来てみたいと思ってたから嬉しい。


「んで、どうなの?」

しいちゃんが微糖のコーヒーを飲みながら主旨も言わずに聞いてきた。


「どうって?」

「莉子の恋愛事情について」

おそらく、しいちゃんも私の心の変化にとっくに気づいていたのだろう。前までは蓮、蓮と、なにかあるごとに名前を出していたのに私は言わなくなった。

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