たとえばきみとキスするとか。
私は今まで起きた全てのことを話した。蓮に好きだと言われたこと。ネックレスをくれたのが零だったこと。
私自身もこの心変わりに驚いているし、蓮をやめて次は零だなんて虫がよすぎるということも重々わかっている。
だからこそ、気軽に今の気持ちを表に出すことができない。なんの共通点もない他の人を好きになれたらよかったのに、あのふたりは一番近いふたご同士。
どっちの選択をしても、私はどちらかを傷つけることになるし、もうただの幼なじみとして3人で過ごすことはなくなるかもしれない。
それが今は、すごく怖い。
「……私は今、蓮よりも零のことばっかり考えてるけど、そういう気持ちも全部なかったことにして、3人で楽しく過ごせないかなって思ったりもしてて……。考えが甘い、よね?」
「うん、甘いね」
しいちゃんが切り捨てるようにバッサリと言い切った。
「そもそもあのふたりにとって、小さい頃から莉子は特別な女の子だったんだよ。それに莉子が気づかなくてのほほんと過ごしてきただけ」
しいちゃんの言葉が厳しい。でも私のために言ってくれてるって分かってる。
「だから今こそ、ちゃんと決めるべきなんじゃない?もう3人で手を繋いで仲良く、なんて歳でもないし、あのふたりもそう思ってるから莉子にモーションをかけてきたんだと思うよ」
15歳、高校一年生。
恋の楽しさも、恋の苦しさも、恋の切なさも覚える歳。
もう、幼い子どもじゃないからこそ、
この恋だけは、自分で決めたい。