たとえばきみとキスするとか。
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「莉子ちゃん。荷物の整理終わった?」
平日の昼下がり。空気の入れ換えで開いている部屋のドアから雪子おばさんが顔を覗かせた。
私が使わせてもらった部屋は、来た当初のままなにも置かれていない状態になり、たった1か月のことだったけど寂しさが込み上げる。
「あら、こんなにキレイにしてくれなくても良かったのに」
「いえ。本当に短い間でしたがお世話になりました」
今日の日付は7月20日。午前中は終業式があり、明日からは夏休み。そして、私がリフォームを終えた本当の我が家へ帰る日でもあり、私の誕生日でもある。
「ボストンバッグは仕事帰りに春子が取りに来てくれるって」
春子とは、私のお母さんの名前。
春子と雪子なんて、本当に親友になるために生まれてきたのかなって思うぐらい。私もしいちゃんや柊花と大人になっても仲良しでいたいと思う。
「これからどこかに出掛けるの?」
「はい。ちょっと……」
私は学校から帰ってきたあとも制服のまま。しいちゃんや2組のクラスメイトたちから一学期の反省会をやろうと誘われたけど、片付けがあるからと断った。