たとえばきみとキスするとか。
私は蓮のことが好きだった。
好きで、好きで、仕方がなかった。
キッカケはたしかに、私が勘違いしたこのネックレスからはじまった。
だけど、それからどんどん蓮に想いを募らせたのは蓮が誰よりも優しくて暖かくて、思いやりがある人だったから。
その気持ちは本物だったし、私の片想いも嘘じゃなかった。
でも、私は……。
「ごめんなさい」
ぎゅっと強く制服のスカートを握る。
蓮のことは大切だし、それはこの先も変わらない。だけど、気持ちに応えることはできない。
私は蓮の顔を見ることができなかった。
もう、蓮は私と幼なじみでいてくれないかもしれない。想いを断ってまで蓮と変わらない関係でいたいと思うのは、私の勝手なワガママだ。
「うん。なんとなく分かってた」
蓮の言葉に私は思わず顔をあげる。
「最近の莉子は零のことで頭がいっぱいって感じだったし、俺といても上の空の時があったから」
蓮の切ない顔。
私に泣く資格はないと思っても、じわじわと瞳がかすんでくる。