たとえばきみとキスするとか。
煌めきよりも深い青。





どこからか鳥のさえずりが聞こえた。カーテンから射し込む眩しい太陽の光。夢の中では蓮と思い出の水族館へと行っていて、バニラのソフトクリームを半分こして食べている。

……なんて幸せな夢なんだろう。このまま目覚めたくない。


「……り、こ……」

なんだか蓮が私の名前を呼んでいる。夢なのに妙にリアルで、また幸せな気分。


「……りこ……莉子っ!」

ハッと目を覚ますと、そこには見慣れない天井が。そしてゆっくりと目線を声がしたほうに向けると……。


「おはよう、莉子。朝だよ」

「ひ、ひゃあ、れ、蓮っ……!?」

私はビックリしすぎて布団から飛び起きた。


「勝手に入ってごめんね。なかなか起きてこないし、一応ドアをノックして声をかけたんだけど」

夢心地だった感覚から頭が一気に冷めて、自分が蓮の家にいることに今さら気づく。


そういえば昨日はあのあとお風呂に入って、雪子おばさんが勧めてくれた高い美容液を肌につけてもらい。

私の後に入った蓮がお風呂から出てきて、色っぽい濡れ髪に失神しそうになったりしながら、ようやく布団へと入った。


普段はベッドだから、床に敷いてもらった布団には慣れないし、蓮の家で自分が夜を過ごしていることにドキドキしていたから、きっと眠れないだろうと思いきや、ぐっすり。

そして、目覚めると蓮の顔があるもんだから、心臓が止まりそうだった。

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