たとえばきみとキスするとか。


「こら、あんまり莉子をいじめるなよ」

そしていつも私を守ってくれるのは蓮だった。


「コイツをいじめちゃダメなんて誰が決めたんだよ」

「俺だよ」

蓮の言葉に私はドキッとする。

零はなにかを言いたそうに蓮のことを睨んでいたけど、「ちっ」と舌打ちをするだけで、そのまま学校へと走っていった。


蓮は物腰が柔らかいし、乱暴なことも強いことも言わないけど、たまにこうして男らしいところもあって、そのギャップに私はまた酸素不足になる。


「零になにか言われたら俺に言って」

「うん。ありがとう」

そのあとは他愛ない会話をして学校に着き、いつもどおり私は3組、蓮は1組の教室へと入っていった。


「莉子おはよー。今日新しい雑誌持ってきたから一緒に読もう」


今日のしいちゃんはポニーテールで、毛先だけがくるんと丸まっていて可愛い。

しいちゃんはまだ登校してきていない隣の席の山田くんの椅子を借りて、私の机に近づけた。

今月発売のファッション雑誌をめくりながら、「買い物いこうよ」なんて誘ってくれる。

買い物も行きたいし、雑誌も読みたいけど、その前に……。

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