たとえばきみとキスするとか。


「えっ!?早川家に居候?」

「しー!!」

せっかく小声で説明したのに、しいちゃんのリアクションが大きすぎて私はキョロキョロと周りを見渡した。


「……居候っていうか、うちのリフォームが終わるまでお世話になるだけ」

するとしいちゃんなぜかとても楽しそうで、その口元はニヤニヤしていた。


「じゃあ、莉子にとっては蓮くんを彼氏にするチャンスがめぐってきたってわけだ」

「え?」

しいちゃんは一番仲がいい友達だし、信用もしてるけど、蓮への気持ちのことはまだ打ち明けていなかったのに。


「好きなんでしょ?蓮くんのこと。莉子は分かりやすいからバレバレだよ」

「わ、私って分かりやすい?」

「うん。かなりね」


うわ、一応これでも抑えてるつもりだったのにな。

そういえば零にもいつの間にかバレていたし、もしかして蓮にも気づかれてる?

……いや、たぶんそれは大丈夫……なはず。


「蓮くん狙いの女子は多いから大変だけど、私にできることがあったらなんでも言ってよ。私は蓮くんと一番お似合いなのは莉子だって最初から思ってるしさ」

「うう、しいちゃん、ありがとう……」


心強すぎて涙が出てきた。

しいちゃんは「もう、大げさ」とハンカチを貸してくれて、大好きな友達でもあり、私のお姉ちゃんのような存在でもある。

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