たとえばきみとキスするとか。
――島崎柊花。
中学2年からずっと同じクラスで、仲のいいグループのひとりだった。卒業式以来会っていなかったから約3か月ぶりの再会だ。
「久しぶりだね!元気だった?」
「うん。莉子も元気そうだね」
「はは、元気だけが取り柄みたいなものだしね」
柊花はすごく大人っぽくなっていた。綺麗なロングの黒髪にほんのりと化粧をしていて、可愛いというよりは美人。
スタイルもいいし、赤いリボンをつけた制服がとてもよく似合っている。
「柊花は女子高生だっけ?」
「うん。S女」
……あれ。S女って、たしかこの前しいちゃんが言っていた――。
「零くんも久しぶりだね」
柊花の視線が私ではなく零に向く。
「……うん」
零は小さな声で答える。
「元気?学校はちゃんと行ってる?」
「まあ。留年にならない程度には行ってるよ」
「そっか」
……このふたりって、仲よかったっけ?
零も同じクラスだったし、私を交えて話すことはあっても、こんな雑談をする間柄ではなかったはず。
なんだろう、この空気。
柊花と零の間に感じる違和感に、胸が少しざわついた。