甘く、蕩ける。
「冗談じゃないって言ったら?」

「・・・え?えっと・・・」

ボーッとしている内にまたも唇を奪われ

る。壁に追い詰められて逃げられなくなっ

た。

「俺、怜香さんが思ってる以上に本気です。

怜香さんは、違いますか・・・?」

「うっ・・・」

いや、本音を言うと私ばっかりが好きなん

だと思ってたんだけど・・・

「ほ、ほんとにほんとなの・・・?」

不倫しておいてこんな事を確認するのも変

だけど、本気で彼を好きだからこそ不安に

もなる。もちろん、本気でハマってしまう

のがダメなのは分かってる。それでも、私自

身もう後戻り出来そうになかった。

「本気じゃなければ女性を部屋に上がらせ

たりしないです。旦那さんがどんな人か分か

らないけど、きっと旦那さんよりもずっと、

怜香さんの事好きですから」

そんな彼の言葉に、私はすぐにドキドキし

てしまう。スッと大きな手が頬に触れそう

になったその瞬間、近くでお客さんの声が

した。
< 15 / 39 >

この作品をシェア

pagetop