計画的恋愛
日付までははっきりと覚えていないけれど、確かに高二の秋に私の体操服が盗まれた。

まさか……

でも確かに茉奈ちゃんは、さっき私の胸に顔を埋めた時に良い匂いがすると言っていた。


茉奈ちゃんの様子を横目で窺うと、顔は真っ青で身体が小刻みに震えていた。


「まさか…茉奈ちゃん…本当に……?」

問い掛けると、思い切り身体をビクつかせた茉奈ちゃん。

それに私を見ようともしない。

その挙動が暁君の言ったことが事実だと告げている。


「ひよに害を起こさないし、ひよが信頼していたから放っておいたけど、手を出すなら別」

「……」

茉奈ちゃんは俯いて黙ったまま。


「茉奈ー?ひよりちゃーん?どうかしたのー?」

下の階から茉奈ちゃんのお母さんの声が聞こえた。

でも私と茉奈ちゃんは声を返すことも出来ない。

すると暁君が土足のまま部屋に入り、私の鞄を掴む。


「荷物はこれだけ?」

私は声が出せなくて頷くと暁君は扉のところに立っている私の所に来て私の手を握った。


「ひよ、帰ろう」
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