計画的恋愛
「あと鞄からこれ見つけた」

「!」

暁君が見せたそれは役所で貰ってきた離婚届。

「俺はサインしないって何度言ったらわかってくれるの?」

微笑みながら離婚届をビリビリに破る暁君に身震いがする。

「それよりも、ひよ。俺との約束破ったね」

「え?」


暁君は目を細めてそう言うと私の左手を取り、先程まで指輪が付いていた薬指を舐めた。

身体の奥がゾクリとすると、一瞬で全身が熱くなる。


「指輪、何処にやったの?」

舌を這わせたまま、私を見透かすように見つめる瞳。

私は逆らえず、ポケットから指輪を出した。

暁君はその指輪を取ると私の薬指に再び嵌めた。


「外したらどうなるかってわかってるでしょ?」

不気味に微笑む暁君。
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