計画的恋愛
「ちょっとお手洗いに」

そう言いながら明ちゃんが立った。

「ひよりちゃんも一緒に行きましょ」

「あ、うん」




「ひよりちゃん!もっと押せ押せしなよ!何のためにコンパに来たの!?」

トイレに行くと明ちゃんが両手を腰に当てながら私に怒鳴った。
その迫力に「え」とポカンとなる。

「彼氏作るんでしょ!?」

ズビシ!と顔を指差されたら、気迫に押され、目を横に流した。

「う~ん……でも気になる男の子いないんだもん。暁君よりカッコいい男の子なんていないよ」

すると明ちゃんは顔を近付け、至近距離で私の顔をじぃっと見つめてきた。

「……ひよりちゃん、お兄と離婚する気あるの?」

明ちゃんは眉を寄せながら溢す。

「あるよ!満々だよ!」

「それなら良いけど。私はね、男で一番大事なのはハートだと思うのよ。Heart!」

明ちゃんは胸に手を当てながら最後のHeartを完璧な発音で言ってみせた。
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