計画的恋愛
「ご飯出来てるよ」

「……着替えたら下に行くよ」

「わかった」


怖すぎて聞けない。


着替えていると、いつの間にか付いている左手の薬指の指輪に気付いた。

私はこの指輪の呪縛から逃げられないのか……。


大学に着くとすぐ明ちゃんに声を掛けられた。


「昨日お兄が突然現れてびっくりしたよ……」

「だよね……」

「お兄、何で場所がわかったんだろ」

「それ、私も謎なんだよね……。一昨日も友達の家に居たら何故か暁君が来たんだよね……」

「まさか、ひよりちゃんを毎日つけてるんじゃ……」


明ちゃんのその一言に私は思わず辺りをキョロキョロと挙動不審なくらい激しく見渡す。


「見当たらなかったよ!」

「どうだろーねー。ずっとカーテンの隙間から覗かれてたわけでしょ?そこら辺のどっかの木の陰に隠れてるかもよ?」

そう言われると視線を感じる気がしてならない。

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