計画的恋愛
「ひよが大きくなるのを待つのは何度も気が遠くなったけど、ひよの成長を見ていくのは楽しかったな。でも小学校三年になるとひよが一緒に遊んでとせがまなくなっっちゃって、暫く寂しくカーテンの隙間からひよの様子を窺う時間も増えて、写真を撮るペースも日々上がっていったよ。だから少しでも会いたくて、毎朝ひよと鉢合わせるように家を出てた。毎朝ひよと挨拶するのが、あの時の俺の生きる糧だった」

暁君は昔を思い出したのか、切なげに笑った。


傍目から見れば哀愁漂ってて絵になる雰囲気の暁君だけれど、言ってる事はとてつもなく怖ろしいんだけども……。


「俺はひよのために俺は優秀な人間で居続けた。高校では生徒会長を務め、周りから慕われる優等生で居続けた。大学は日本のトップの東大へ。ひよを見守りながら、早く大人になってと考えて過ごす日々。大学進学から二年後、俺もついに成人に。そしてひよを手に入れるために一番重要な計画を、ついに決行させる日がやって来た」


一体暁君の一番重要な計画って…。


「ひよの小学校の卒業式が終わった次の日、買い物帰りのひよの母親に俺は声を掛けたんだ。」


小学校の卒業式の次の日?

何で?


「ひよの家庭教師になるようにオバさんに促した」

「え……家庭教師は暁君が仕組んだことだったの!?」

「ひよのお母さんから話題を振ってくれたから好都合だった。中学生のひよに定期的に一番近付ける方法がこれだと思ったんだ」

私は唖然。

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