計画的恋愛
「俺は君が買い被るような人間じゃない。あの半導体は俺一人で作り上げたわけじゃないんだ」

暁君は申し訳なさそうな顔を作る。


「俺は情けないが、自分の力の無さに不甲斐無さを感じて工学の道を諦めたんだ」

次は歯痒そうな顔。

そして乾さんの両肩に両手をポンと乗せる暁君の顔は笑顔に。


「だが君は違う。才能がある。俺は君のレポートを読んだ」

「え!?一条さんが俺なんかのレポートを!?」

「俺なんかなんて自分を蔑まないでくれ。俺は君のレポートを読んで脱帽した。そして敗北感を感じた」

「えぇえ!?」

乾さんは驚いている。


「だから君が俺の代わりに工学部の星になって欲しい。俺からの切なる頼みだ。やってくれないだろうか。」

「一条さんから、そんなお言葉を頂けるなんて……」


乾さんは何故か感動して、涙流し始めてるし……。

何か、展開が一気に青春ドラマみたいになってきたけど……。

さっきまでの空気は何処へ。

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