計画的恋愛
『……それ本当に私?』
動揺しているかと思ったら、先ほどまでとは違う低い声で平然と返してきたキヨちゃん。
「……」
お兄ちゃんはそんなふてぶてしいキヨちゃんに、暁君の台本通り『そうだよ』と返せずに黙り込む。
こんなお兄ちゃんで最後まで演技出来るのだろうか。
『見間違いじゃない?証拠はあるの?』
「……違ったかも、しれない……」
お兄ちゃんは台本通りに『あるよ』と返せない。
顔は今にも泣き出しそう。
『でしょ?私、そんなことする人間じゃないもの。壮亮君が一番知っているでしょう?』
お兄ちゃんがそう返すと、キヨちゃんの声は最初のブリブリの声に戻った。
「そうだね……」
『お金はなんとか私も工面してみる。出来たら電話するね、じゃあね』