計画的恋愛
そう言うとキヨちゃんは一方的に電話を切った。

お兄ちゃんは電話を見つめて固まったまま。


「暁君の書いた通りだったね……」

暁君の書いた台本はキヨちゃんは何を言っても最後までシラバっくれるというもの。
でもお兄ちゃんは台本通り出来なかったけれど。


「思った通りの女だったな」

暁君が納得したように言った。
どうやら暁君はキヨちゃんの人間性を確かめるために電話を掛けさせたようだ。


「このままだとお金はきっと全額ホストに注ぎ込んだだろうから、一円だって返って来ないだろうな」

暁君が言った。


「そんな……」

お兄ちゃんが一生懸命働いたお金を、騙してホストに注ぎ込むなんて……。


「俺が二年間働いて貯めたお金が……」

やっと現実に気付いたお兄ちゃんはまた泣き出した。

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