計画的恋愛
高そうなスーツにスラッとして頭をワックスで固めた男の人。

成る程…この人が。

「よろしくお願いします」と星夜さんに頭を下げられて、私とお兄ちゃんも頭を下げる。


「奥の控え室に監視カメラがあるから、そこに行こうか」

「う、うん」


暁君が一人のスタッフに声を掛けて控え室に案内してもらった。


「あ、そうだ。ひよ、これ念のために」

控え室に入って置いてあったパイプ椅子に座ると暁君が差し出したのは、縦横5cm、厚さ1cm程の小さなスピーカーのようなものが付いている小さな機械。


「何コレ?」

「俺に付けてある盗聴器で会話を聞けるから」

そう言ってスーツの胸ポケットを指差した暁君。

「え」


まさか、これ、私に仕掛けてた暁君お手製のチップの盗聴器?
ということは、この機械も暁君の愛用品……?


「半径25メートルまでは音拾うから」

「……」


成る程……これで私を長年ストーキングしていたわけね。

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