計画的恋愛
「分かった。帰るよ」

暁君は無表情で呟き、頷いた。


「……鍵を返して」

私は暁君を見れなくて視線を外してだが手を暁君の前に差し出した。


「でも俺は離婚はしないよ」

暁君がそう言うと私の手の上には冷たい鍵の感触。


「ひよはずっと俺のものだから」


暁君はそう言うと、家から出て行った。


「よく言った!ひより!」

「……」

「これでアイツがストーカーだってわかっただろ」

「ふぇ……」

涙が出てきた。

「怖いのか!?一緒に大阪に帰るか!?」


私には暁君は本当にずっと王子様だったの……。

幸せになれると思ったから結婚したの……。


あんな人だとは思ってもいなかったの……。

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