クールな部長は溺甘旦那様!?
午前の仕事をこなして昼休憩が近くなった頃。

「あれ、剣持部長は? さっそく一緒に外に行くのかと思ってたけど」

出先から戻った亜美に声をかけられる。

「うん、まずは剣持部長の担当してるクライアントの資料を全部把握してまとめておこうと思って、今朝そういうふうに言われたの、いきなり何も知らないで行っても先方に印象悪いから」

剣持部長はクライアントのオリエンテーションに行くと言って、ブリーフィングが終わると同時に出かけてしまった。本当は私も同行したかったけれど、自分がなすべきことを優先した。

「そうなんだ、私、午後はデスクワークだから昼休憩は会社に戻ってからにしようと思ってたんだ、一緒にランチどう?」

せっかくのお誘いだったけれど、私は昼休憩を返上して剣持部長から課せられた仕事を早くこなしたかった。
< 199 / 362 >

この作品をシェア

pagetop