クールな部長は溺甘旦那様!?
「君は本当にそれでいいの? また思い出しちゃったりしない? あの時、相当落ち込んでたじゃないか、もうあんな君を見るのは……嫌なんだ」

メフィーアとの契約がダメになって、その当時の私の落胆ぶりといったら、今じゃ恥ずかしくなるくらいに毎日泣いていた。CM広告という大きなビジネスを逃した屈辱は計り知れない。あの時は部署内だけでなく、製作部にも媒体部にも迷惑がかかってしまった。やはり思い出すと鬱々とした気持ちになるけれど、剣持部長が言うように、それではいつまでたっても前には進めないのだ。

「うん、今度こそ大丈夫!」

「それってさ、剣持部長がいるから? もし、失敗してもフォローしてもらえると思ってるのかな?」

「え……」

影山君は辛辣な言い方に加えて面白くなさそうな表情を浮かべている。
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