クールな部長は溺甘旦那様!?
「剣持部長は頼りがいのある上司だけど、だからって甘えるつもりはないよ、それじゃ補佐の意味がないじゃない」

なんでそんな意地悪なこというの? 影山君ってそんな人だった?

私の中で影山君への不信感が募っていく。亜美と三人でよく飲みにも言ったし、いい友達関係を築けていると思っていたのに。まるで私が外回りになることが気に入らないみたいな……。

「ごめん、ちょっと心配になりすぎた」

すっかり笑顔が消えてしまった私の表情を見て、影山君が慌てたように言った。

「まぁ、松川さんも元々仕事のできる人だからね、応援してるよ。なにか困ったことがあったら相談して」

不穏な雰囲気になりかけた空気をかき消して、影山君は自分のデスクへ戻っていった。そんな後ろ姿を見ながら、私はふと、以前、剣持部長の言ったことを思い出した。

『影山には気をつけてくれ、あいつは……ちょっと厄介だ』

まさか、なにもないよね……考えすぎ! 考えすぎ! 影山君はきっと私を心配して言ってくれててるだけ。
考えても仕方のない猜疑心をブンブンと首を振って消すと、私は午後の仕事に集中することにした。
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