クールな部長は溺甘旦那様!?
「ん~、美味しい!」

料理をしている時は集中して味見以外は何も飲み食いすることはなかったけれど、昔、友人がアルコールを飲みながらほろ酔いで楽しそうに料理をしている姿を見ていたら、自分もそんな癖がついてしまった。

湯煎して溶かしたチョコレートを全体に丹念に塗っていく。“Happy Birthday”なんて自分でプレートに書くのは恥ずかしいし虚しいけれど、チョコレートが余ったからついでに作ってケーキの中央に載せた。横半分に切ったスポンジの間にフルーツと生クリームを挟み、チョコレートでコーティングした簡単なものだったけれど、美味しそうだ。

「完成! っと」

シャワー浴びたらゆっくりしようかな? 作ったはいいど、こんなにひとりで食べきれないよ……剣持部長もいたらいのに、電話してみようかな……でも、きっと忙しいよね。

そんなことを思いながらキッチンを簡単に片付けると、私は浴室へ向かった――。

< 206 / 362 >

この作品をシェア

pagetop