猫と空と空き地
「あ、これ郵送して下さい。」
部屋から少し遠い家具屋で、小さく薄型のテレビを購入した。
郵送の手続きを済ませる俺の斜め後ろ、暇そうに俯く千崎。
「いいじゃん、あれ」
淡い朱色と冷ややかな群青色が映えるスタンドライト。
特に何が気に入ったわけでも無かった。
退屈そうな千崎に何かを勧めたかった、それだけだ。
「要らない。」
ああ、そう言うと思った。
結局、千崎は部屋に戻るまで、ふて腐れた子供のように俺の後ろをついて歩いた。