双姫・嵐王 番外編
朱音『……おい。』
暗闇に向かって言葉を放つ。
朱音『そこに居るのは分かってる。
さっきから後をつけて目障りだ。』
そう言うと暗闇から一人の男が現れた。
「流石は『双姫』だ。
人目を掻い潜り病院から抜け出すとは。」
上から下まで黒い服を身に纏ったその男は
場のせいもあって異質に思えた。
それよりも。
朱音『その名を、どこで知った??』
突如現れた正体不明の男に殺気を放つ。
「まぁ、待ってくれ。
俺に敵意は無い。」
そう言って男がフードを外す。
深い海の底のような瞳と視線が重なった。