軍人皇帝の幼妻育成~貴方色に染められて~
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――その夜。
アドルフは柄にもなく緊張していた。
湯浴みを済ませ、シャツとトラウザーズにナイトガウンを羽織った姿で、勝手に鼓動を早める心臓におとなしくしろと言い聞かせながら廊下を歩く。
そして今夜から自分と妻の新しい寝床となる夫婦の寝室の前まで行き、扉をノックした。
おずおずとした声で「どうぞ」と返事があり、アドルフは一度深く息を吐き出してから洒脱な形状のドアノブを握り、扉を開いた。
クリスタルガラスのシャンデリアには三分の一ほど蝋燭に火が灯されており、室内をほんのりと照らしている。
そして彼を待つ新妻は、フリンジの垂れ飾りとモスリンのカーテンがついた大きな四柱式ベッドに、モジモジと俯いて座っていた。
そのあまりに初々しい恥じらい方に、アドルフはそれだけで気持ちを高揚させてしまう。
ふんわりとした白皙の頬を赤く染め、恥ずかしさと戸惑いでこちらを見ることのできない姿は、なんと清純で愛らしいのだろうか。
華奢な身体を包んでいるのは、少女らしいピンク色のリボンがついた薄手の綿モスリンのネグリジェだ。デザインは愛らしいのに極薄の生地からは身体の線が透けて見えており、清純さと淫靡さが混じり合って、アドルフの欲をこれでもかと煽ってくる。
フゥッと息を吐き出し気持ちを落ち着かせながらアドルフは、自分がこんなにもシーラを抱きたくてたまらない日がくることを、感慨深くさえ思った。