軍人皇帝の幼妻育成~貴方色に染められて~
 
一年前、彼女に森の教会で出会ったとき、自分はこの少女を抱ける気がこれっぽっちもしなかったのだ。

変わったのはシーラか、それとも自分か――その両方だと考えて、アドルフはシーラと過ごしたこの一年間を愛おしく思う。

「シーラ」

呼びかけて、蜂蜜色の髪をそっと撫でた。細い肩がピクリと震え、わずかな不安と恋する乙女の色気を湛えた瞳がゆっくりとこちらに向けられる。

「大丈夫だ、怖くない。俺に委ねればいい」

手に掬った髪にキスをし、それからシーラの緊張をほぐすように、頬へ優しく口づけた。

今度は唇を重ねようと彼女の頬を両手で包み、顔を上向かせる。

朝露を載せたダマスクローズのように清純で艶やかな唇は薄く開かれており、そのあまりの蠱惑さにアドルフはしばし見入った。

自分はいつからか、いや、きっと初めからこの唇の虜になっていたのだなと改めて思い、そっと口づけた。フワフワと柔らかく、それでいてなまめかしい感触に、理性が焼き切れそうになる。

「愛している。お前を早く抱きたかった」

啄むようなキスを何度も繰り返す合間に、想いの丈を吐き出した。

無垢で愛らしく、それでいて凛とした気高い美しさも持った女。その眩しいほどに清麗な心も、守ってやりたくて仕方ない華奢な身体も、純真爛漫な笑顔も、みんなみんな愛おしくてたまらない。

「アドルフ、様ぁ……」

必死にキスに応えながら、シーラも胸の内を必死に告げようとする。

「私も、愛しています……、あなたが、あなたのことが……好き」
 
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