メーデー、メーデー、メーデー。
「春日先生!!」
医局の自分のデスクで書類整理をしていた春日先生に駆け寄る。
「びっくりした!! 何?! どうしたの?!」
オレに突然大きな声で呼ばれて驚いた春日先生が、少し身体を仰け反らせた。
「木南先生って、忙しい人だったからずっと有休取ってなかったですよね、きっと。今ってもしかして、有休消化中ですか?」
そんな春日先生に顔面を近づけて質問をする。
「そうなんじゃないの?」
『近い近い!! 顔!!』と言いながら、両手でオレの顔面を押し除ける春日先生。
「じゃあ、まだこの病院の医師って事ですよね?! 木南先生を呼び戻しましょう。木南先生なら野村さんのオペ出来ますよね?! 私、直談判します。木南先生の連絡先を教えてください!!」
春日先生の腕力に負けじと顔圧を掛けると、
「分かった!! 分かったからこれ以上顔を近づけるな!! 男の顔なんか至近距離で見たくもないわ!! 教えてもいいけど木南に怒られても知らないからな、オレは。それに、もう実家に帰っているかもしれないよ」
春日先生は椅子のキャスターを後ろに転がしながらオレから離れると、ポケットから携帯を取出し、『木南、木南』と呟きながら木南先生のアドレスを探してくれた。