メーデー、メーデー、メーデー。
メーデー、メーデー、メーデー。
検査が終わった木南先生は、MRI室から外科病棟に運ばれた。
外科の医局の早瀬先生のデスクに木南先生のMRIのROMを置き、木南先生の病室へ。
木南先生の枕元に腰を掛け、
「木南先生のばか。他人の緊急手術なんかしている場合じゃないでしょう。木南先生の手術が必要でしょうが」
木南先生に文句を言いながら、いつも傍にいたのに、医者なのに何も気付かなかった自分に嫌気が刺した。
今思えば、おかしなところはたくさんあった。昼食を食べようとしない事。突然病院を辞めた事。あれだけ忙しく働いていたくせに、病院を辞めた途端に仮眠室で身体を休めたがっていた事。片付いていない部屋。
「…気付かないオレがアホなんですけど、話してくれても良かったじゃないですか、木南先生。オレ、単純なんだから分からないですよ。言ってくれなきゃ分からない」
膝の上で拳を握り、項垂れた。