メーデー、メーデー、メーデー。
「…約50%です」
食道癌は進行が早く、周囲に浸潤しやすい為、ステージⅡであっても5年生存率が低い。
「そう。半分は死ぬ」
「でも、半分は助かりますよ!!」
野村さんと比べたら、50%も助かる可能性があるのにと思うと、木南先生の気持ちが全く理解が出来ない。
「辛い治療をして命が延びたとして、私は仕事に復帰出来る?」
「治療をしなければ、仕事に復帰する事は100%ありませんよ」
良からぬ事を考えているだろう木南先生の言葉を、悉く否定する。
「私には仕事以外何もないんだよ。医学しか学んでこなかったから、医者以外の仕事も出来ない。医者でなくなってしまったら、私はもう立っていられないの」
木南先生らしくない後ろ向きな言葉が、悲しく切ない。