メーデー、メーデー、メーデー。

 「おとなしく寝ていなさいよ、病人が」

 突然ドアがスライドし、知らないおばさんが入って来た。おばさんの後ろには早瀬先生の姿が見える。

 「…お母さん」

 おばさんの顔を見て、木南先生が動きを止めた。

 「ベッドに戻りなさい」

 木南先生のお母さんが病室の中に入ってきて、木南先生の手首を掴み、ベッドまで引っ張ろうとした。

 「痛い。やめて」

 引きずられまいと足を踏ん張りながら抵抗する木南先生。

 「アンタ、父親の介護で実家に戻るんだってね。私が離婚してから、父親には1回も会った事ないはずよね、確か。あの人、倒れたの? 私はあの人が生きているか死んでいるかも分からないわ」

 そんな木南先生に、呆れたような怒っているような口調で、嘲笑するように質問をする木南先生のお母さん。
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