メーデー、メーデー、メーデー。

 枕を拾い、藤岡さんに近寄ると、

 「こっちに来るな!! ご立派な仕事をしながら恋愛楽しんで、人生味わいつくしている先生に、私の気持ちなんか分からないでしょう? ていうか、医者なら私に後遺症が出る事くらい分かってたはずだよね?! どうして助けたの?! 私、助けてなんて一言も言ってないよね?! ねぇ、何で?! こうなるって分かっていて、それでも生きたい人間なんているの?! 何で死なせてくれなかったの?! ねぇ、先生!!」

 藤岡さんがオレを拒絶しながら、オレに質問を投げかけた。

 藤岡さんの問いかけの答えはいずれも、『ご家族の同意の上』だから。

 けれど、藤岡さんを慮るとそんな事を言えるはずもなかった。

 「……」

 何を言えば良いのか分からず言葉を失っていると、背後で病室のドアをノックする音が聞こえた。
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