メーデー、メーデー、メーデー。
『失礼します』と脳外のナースステーションに入ってきた早瀬先生が、パソコンに『見て頂きたい画像』を出した。
木南先生がパソコンの前に座り、その後ろからオレも画面を覗く。
「今、小児科と連携している腎腫瘍の小児がん患者のMRIです。脳に転移が見られました」
早瀬先生が簡単な説明をすると、木南先生はマウスを動かし何枚かの断面図に目を通した。そして、
「で?」
何故か不快感を露わにしながら、早瀬先生に若干乱暴に問い返した。
「木南先生のお力をお借り出来ませんか?」
「…は?」
早瀬先生のお願いにも冷たく返す木南先生。
「何を試してみても、この患者さんに効く薬がありませんでした。オペをする他ない。このオペが出来るとしたら、木南先生しか…「このオペを、どう私がしろと?」
木南先生は早瀬先生の話を最後まで聞こうとせず、座っていた椅子から立ち上がると、さっきまで話をしていた看護師長の元へ戻ろうとした。