アーモンド~キミとの物語~
「あの…秋斗先輩」
「ん?」
カタンと近くにある椅子に座る
秋斗は特に何も言わなかった
「私を助けてくれたのって…」
「ああ、オレだよ」
うさから?と聞くとコクンと頷く
そして千咲は改めてお礼を言う
「いや…でも千咲ちゃんが無事だったからそれで充分だよ」
「……はい」
「あ、そういえば愛未ちゃんから聞いたよ。前にも同じことあったって」
「ああ…はい」
創汰が千咲の側にいる間に愛未が前にも同じことあったことを話していた
中学の臨海学校の時に偶然家族で来ていた小さな子供を助けようして溺れたということを
千咲はその時の記憶があまり無かった
本人は無我夢中で子供を助けようとしていたらしい
それが今回の出来事と重なってしまったため愛未も創汰もすごく心配していた
「あの時は無我夢中だったんであまり覚えてなくて…」
「そっか。でもみんなが言うようにもう無茶なことはしないで?」
「……先輩」
「千咲ちゃんが海に落ちた時かなり焦ったんだ」
千咲は秋斗の顔をみてハッとする
その表情は切なくて誰かを思っているかのように心配している顔をしていた
(秋斗…先輩?)
「あ、の…私…」
そんな表情をさせたのは自分だと自分を責めた
迷惑も掛けたし心配も掛けた
何よりいま目の前にいる人になんて顔をさせているんだろと……