アーモンド~キミとの物語~


だけど秋斗はすぐいつもの表情に戻りスっと手を伸ばすとストップという風に千咲の唇に人差し指を置く

まるでそれ以上何も言わないで、という風に

(え….)

何が起こったんだと思った
秋斗の顔がすごく近くていつもの優しい表情になっていた

「千咲ちゃん、それ以上はもう何も言わなくて大丈夫。だから謝るのもおしまい。こうやって無事だったし生きてる。オレはそれだけでいいんだ…」

「………」

「……ねっ?」

それは自分を責める必要は無いと言い聞かせた
コクンと頷くと指を離す

「ん、それなら良し。じゃあシャワー浴びておいで?咲良さんの夕飯冷めちゃうから」

そう言って部屋から出る
千咲はしばらく放心状態になっていた

(顔が近かった…)

いつもの秋斗じゃないみたいでドキドキと心臓が不定期になっているのが分かった

それがなんと呼ばれてどう表現するものなのか

そんな二人の様子を影から見ていた人物が居たとも知らずにーーー




シャワーを浴びて髪を乾かしたあとみんなで夕飯を取る

さっきの出来事がまるで無かったかのように明るく会話をする

「んー、やっぱり咲良さんの作るものは美味しい!」

「愛未ちゃんにそう言ってくれると嬉しいわねー」

2泊3日の泊まりは今日で終わり
明日のお昼には戻る

あっという間の時間を過ごす6人であった

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