アーモンド~キミとの物語~




次の日の朝

今日のお昼には帰るのだ
千咲は早くに起きて足に巻かれた包帯とガーゼを取り替える

傷は少し深いものの痛みはそんなにない

「……ふぅ」

昨日の出来事のせいであまり楽しい思い出を作ることができなかった
せっかくみんなも楽しみにしてたのに申し訳気持ちでいっぱいだった

ケータイを見るとまだ7時前

とりあえず着替えて下に降りると咲良が朝食の準備をしていた

「おはよ、お姉ちゃん」

「あら、おはよ。足のケガとか体調はどう?」

「ん、もう大丈夫だよ」

「良かった」

咲良は千咲がみんなが楽しめなかったんじゃないかと気にしていたことを察していた
だけど下手に言えば余計に千咲は気にするため何も言わなかった

「私ちょっと散歩してきて良いかな?」

「良いわよ。誰か起きてきたら千咲のこと言っておくからゆっくり散歩して来てらっしゃい」

「うん。じゃあ少し行ってくるね」

そう言ってコテージを出る

千咲にとってはちょっとした気分転換になるだろと思い止めなかった
あとで自分が迎えに行くか創汰か秋斗に迎えに行かせるつもりでいたからだ

「…………」

千咲は砂浜を一歩一歩歩いていた
ケガしたところにあまり砂が付かないように

そして海を眺める
まだ朝のため人は全然いなくて静かで波の音だけが聞こえる

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