アーモンド~キミとの物語~
「朝の海ってちょっと良いかも…」
そんなことを呟く
朝なのに少し強い日差しに肌に当たればちょうど良いくらいの風と波の音
すると「千咲ちゃん!」と聞き覚えのある声が飛んでくる
「えっ…」
振り返ると秋斗がこちらに向かって走ってきていた
「秋斗先輩?」
たたたっと秋斗に近づくと走ってきたせいで息が上がっていた
「ここに居たんだ」
「あ、ごめんなさい」
「謝らないで。咲良さんから聞いたから」
ホッと胸を撫で下ろす
「オレも一緒に散歩していい?」
「はい!」
そう言って二人は少し波打ち際を歩く
特に何かを話すわけも無く無言で歩く
「…………」
「千咲ちゃん」
「……はい?」
不意に名前を呼ばれると秋斗がこちらを見ていた
少し真剣な顔をしていた
その表情にドキッとした
「あき、と先輩?」
「今度…」
「えっ?」
秋斗は何かを言いかけたとき「お姉ちゃーん!」と子供の声がした
キョロキョロと見回していると小さな男の子がこちらに走ってくる
そして千咲に思い切り抱き着く
「きゃっ…」
「千咲ちゃん!?」
とりあえず受け止めるがその場に尻もちを付く
そしてその子はガバッと顔を上げると千咲は「キミ…」と思い出したように言う