アーモンド~キミとの物語~
「お姉ちゃんもう体いいの!?僕のせいで…」
千咲に抱き着いて来たのは昨日帽子を取ってあげたあの男の子だ
「うん、もう大丈夫よ」
ニコッと安心させるように頭を撫でているとお母さんらしき声がした
そしてその声をした方を見ると「お母さん!」と男の子が手を振る
男の子のお母さんは「あらあら…」と申し訳なさそうにする
「すいません、うちの息子が…」
「いえ、大丈夫ですよ。キミ名前は?」
「僕、瑞季!お姉ちゃんは?」
「瑞季くんかぁ。私は千咲って言うの」
するとパァーっと明るくなり「千咲お姉ちゃん!」となんだか嬉しそうに名前を言う
「瑞季がどうしてもアナタにお礼したいって言ってて旦那に聞いてコテージ行ったらアナタのお姉さんが散歩してるって聞いて」
「そうなんですね」
「ね、お姉ちゃん!僕お姉ちゃんにお礼したい!あっちに綺麗な貝殻あるんだよ!」
行こっ!と千咲の手を掴み一緒に歩いていくと傍にいた秋斗がちょっと心配そうにする
その様子を見た瑞季の母親は「大丈夫ですよ」と安心させるようにうながす
「もしかしてあの子、アナタの彼女かしら?」
くすくすと冗談ぽく言うと秋斗は慌てて否定するがすぐ冷静になり
「……彼女ではないんですけど今は気になる子ですね」
と言う
「そう」
そんな会話をしていることなど知らない二人
瑞季は「おにーちゃーん!」と秋斗を呼ぶ