アーモンド~キミとの物語~
ーーードォーン!
大きな音と共に数色の花火が上がる
秋斗が「ナイスタイミングかな」と微笑む
もっとはっきり見るためにもう少し歩くとそこには街灯や家の明かりに照らされた町の景色があった
千咲はそれを見て「わぁ」と声を出す
「こんな場所知らなかった…」
「オレのお気に入りの場所なんだ」
「秋斗先輩の…」
「うん」
そんな会話をしていると再び花火が上がる
赤や黄色、紫や青など鮮やかな色が形を変えながら次々と上がる
ーーーヒュ~…ドォーン!
上がっては消えて上がっては消えてを繰り返す
数発上がる花火を千咲と秋斗は静かに見上げる
「…………」
ちらっと秋斗を千咲を盗み見る
自分の肩くらいまでの身長
多分10cmの差はあるだろ
そして普段とは全く髪型にかんざしを付けており良く似合っている浴衣
秋斗は知らず知らずの間に千咲を目で追っていた
「千咲ちゃん…」
「……はい?」
不意に呼ばれた名前に千咲がこちらを向く
無垢で優しい笑顔
(オレは…)
秋斗は自分の気持ち気付いてしまった
否、ほんとは前から……千咲が好きだと言うことを
「千咲ちゃん…オレ…」
秋斗は千咲に何かを言いかける
「……え」
「オレ、キミのことーーー」
その時今までにないドォーン!と大きな花火が打ち上がる