アーモンド~キミとの物語~
花火終わった音に秋斗の声がかき消されてしまう
そしてタイミング悪く花火大会終了を知らせるアナウンスが流れる
千咲は秋斗が何かを言いかけたことに気付いていた
「秋斗…先輩?いま何か言いました?」
「……ううん、なんでもないよ」
「そう、ですか?」
口を紡ぐ秋斗に千咲は問うのを止めた
無理に聞いても答えてくれないだろうと思ったからだ
そして再び手を差し出される
「さ、戻ろうか」
「はい…」
もやもやする気持ちを抑えながら手を重ねて秋斗と戻る
しばらくして待ち合わせしていた鳥居に近づくととスっと手を離される
(あ…)
ちょっと寂しい気持ちになる
だけど今日の出来事で色んな秋斗を知れた気がしたと千咲は思った
鳥居には既に創汰、愛未、ほのかがいた
「ちぃー!」
「あ、ごめんね!」
「私たちもいま来たから大丈夫よ。花火綺麗だったね!」
「うん!」
創汰たちは別のところで花火を見ていたらしい
千咲にどこで見てたか聞くと祭り会場の近くと言う
あの場所は二人にとって秘密の場所にしたかったためとっさにそう答えてしまった
5人は他愛の話しをしながら家へと帰っていく
この最高に楽しい夏休みという時間が5人揃う最後になるといまは誰も知らずにーーー