アーモンド~キミとの物語~
「あ、あった…」
近くにあった脚立を持って来る
脚立があれば千咲の身長でも上にある缶は届くが下手をすれば落ちてしまう
慎重に手を伸ばすと缶に指が届くがそのままグラッと落ちてくる
そして千咲もバランスを崩してしまう
「きゃっ…」
(落ちる…!)
「危ない!」
するとガシャン!と大きい物音がしながら上にあったものが落ちてくる
だが千咲の体は床に打ち付けることなく誰かに抱きとめられる
「……っ!?」
(痛くない…?)
「大丈夫?」
「え…」
千咲を抱きとめて助けたのは秋斗だ
「あ、秋斗先輩…」
「ケガは?」
「ない、です」
何が起きたのかあたふたとしていると説明する
秋斗はたまたま用事で美術に来たら千咲の姿を発見する
上にある何かを取ろうとしていた時に落ちそうになったところを助けたという
「ありがとうございます…」
(また助けられた…)
「どういたしまして」
秋斗はクスッと少し笑う
「"あの時"と同じだね」
「あの時…?あっ!」
秋斗の言葉で千咲は思い出した
千咲は図書室で会う前にすでに出会っていた
それは一年前の文化祭で今と同じシチュエーションでだ
たまたま実行委員会で見回りしていた秋斗